うらおもて人生録 色川武大

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かなりの人がそうであるように、阿佐田哲也の麻雀放浪記の映画を好きになったのが最初でした。そこから小説を読み、阿佐田哲也という名前は「朝だ徹夜だ」をもじった名前と知り、本名が色川武大でこちらでも小説を書いていると知るわけです。

実は私が幼稚園の頃、実家が雀荘という時期がありました。いろんな大人がいました。もう記憶の彼方です。その時期も短いものでしたし。

ただ、家族麻雀は小学生の頃していた記憶があります。中学のころには友人や自分の部屋などで麻雀三昧でしたし、高校でもそうです。計算や駆け引き、運との付き合い方は麻雀に教えてもらいました。

麻雀放浪記を知ったのは高校生の頃だと思います。考えてみるとすでにそのとき、阿佐田哲也はもうこの世にはいないんですね。

今改めてこのうらおもて人生録を読み、著者略歴を読んだり、この本がもう20年以上も前に書かれていることを知りました。(本屋でなにげなく目にとまり、なにげなく買った本です)

内容は、自分が劣等生であること。その劣等生がなんとか人生のセオリーを探しながら生きてきたこと。そのなんとかわかりかけたものを若者に託す、そんなエッセイになっています。

とにかくいろんな示唆に富んでいて、今時の自己啓発本のようにまとめるとなんとか、みたいなことにはできません。印象的な言葉はいくつかあります。一病息災、九勝六敗、弱点を認識するということ。

でもそういう言葉で納得してしまえる内容ではありません。この本は何度でも読める本です。

もう四半世紀も前の内容だからこそ、というより著者自身が時代とは関係のない、社会で生きるセオリーみたいなものを人の言葉を借りずに綴られている、と感じます。

いつも自分の目の届く場所に置いておきたい、そんな本です。

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